| 夜明け前 2004年1月 私たちは,木村さんの蔵の中にいました。木村さんのお雛様は,最初の年にお願いをし,蔵布都に毎年飾ることとしています。 木村さんのお雛様は,大正7年に東京の白木屋日本橋店(現コレド日本橋)で購入した物で,当時の白木屋日本橋店の店員さん2名が配達した物だそうです。 蔵の中から出すときに,私の不注意で小さな箱がお尻に当たり,中の物が散らかってしまいました。慌てて箱に戻しましたが,写真がたくさん入った箱で興味があったので,木村さんの許可を貰い,中を見せてもらいました。 中の写真は,木村さんのお父さんが撮った写真で,木村さんの幼少の頃の写真や,お父さんやお母さんの写真,それと近所を撮った写真でした。 木村さんの幼少の写真は,着物姿だったり,洋装だったり,まるで着せ替え人形を撮っているようにたくさんの写真がありました。 お茶をよばれながら,木村さんの小学生時代の話や,お父さんのお話,お兄さんのお話を聞かせていただきました。 一番驚いたお話は,木村さんが小学生の時は,女中さんが毎日お昼になると温かいお弁当を届けにきたということです。 30分で終わる仕事が,2時間以上かかり(そのほとんどがお茶を飲みながら話していました。)写真の入った箱を落としたことを謝り帰ろうとすると,「謝らなくていいのよ。きっと父と兄が写真を見て欲しくて落ちるようにしていたのかもしれないから。だって,初めて見る兄の写真があったもの。」と優しく言っていただきました。 木村さんのお兄さんは,木村さんが生まれる前に亡くなっていたそうです。 毎年,借りに行っているのに初めて聞く話でした。沢山の人達の思い出や思いが真壁のひなまつりには隠れています。 私たちは,いつも思います。きっと一番色々な話を聞けて,得をしているのは私たちではないかと・・・。 ![]() |